เข้าสู่ระบบ竜希の家に戻ると、彼は先ほどと同じ席に座っていた。ラフな普段着に着替えていて、髪が濡れている。
その後ろ姿に、ときめいてしまった。
「ただいま」
平静を装いつつ声をかけて、彼の隣に座る。
「あぁ、お帰り。レモネード、作り直そうか?」
竜希の問いに、目の前にあるグラスに視線を向けると、レモネードが半分ほど残っている。
(ゆっくり飲みたかっただけなのに、変に気を遣わせちゃったかな?)
なんて思いながら、大丈夫だと答えた。
「でも、もう冷たくなくなってるだろ?」
「そんなに長時間、置いてたわけじゃないから大丈夫だって。それに、せっかく竜希が作ってくれたんだから、捨てるのはもったいないよ」
僕がそう言うと、竜希は照れくさそうにはにかんだ。
「佳晴さんがそれでいいなら、いいけど。もし飲み終わったら、速攻で作るからな」
「わかったよ。それじゃあ、物件探しではずせない条件、挙げていこうか」
と、パソコンを起動しメモ
竜希の家に戻ると、彼は先ほどと同じ席に座っていた。ラフな普段着に着替えていて、髪が濡れている。その後ろ姿に、ときめいてしまった。「ただいま」平静を装いつつ声をかけて、彼の隣に座る。「あぁ、お帰り。レモネード、作り直そうか?」竜希の問いに、目の前にあるグラスに視線を向けると、レモネードが半分ほど残っている。(ゆっくり飲みたかっただけなのに、変に気を遣わせちゃったかな?)なんて思いながら、大丈夫だと答えた。「でも、もう冷たくなくなってるだろ?」「そんなに長時間、置いてたわけじゃないから大丈夫だって。それに、せっかく竜希が作ってくれたんだから、捨てるのはもったいないよ」僕がそう言うと、竜希は照れくさそうにはにかんだ。「佳晴さんがそれでいいなら、いいけど。もし飲み終わったら、速攻で作るからな」「わかったよ。それじゃあ、物件探しではずせない条件、挙げていこうか」と、パソコンを起動しメモ帳を開く。「やっぱり、駐車場は必須だよな。俺のと佳晴さんので、二台分」「そうだな。駐車しやすいとこだと、なお良しって感じかな」言いながら、メモ帳に入力していく。「佳晴さんは、何階想定で考えてる?」「そこは、特に考えてなかったな。一階だったら、割と楽だけどね」確かにと、竜希が同意する。それから、キッチンの収納やクローゼット、バス・トイレ別など、互いに譲れないこだわりを書き出していく。「俺はこんなもんだけど、佳晴さんは? 他に希望ないの?」「僕? そうだなー……風呂場とトイレは、ある程度、広い方がいいかな」「風呂場……? なんだ。そういう事なら、言ってくれればいいのに。裸のつき合い、しようぜ」妖艶な笑みを浮かべる竜希に、肩を抱き寄せられる。その色香に流されそうになるけれど、どうにか耐える。「そ、そうじゃなくて! 風呂場もト
『一緒に暮らそうか?』竜希にそう誘われてから、僕の思考は袋小路に迷い込んでいた。もちろん、とてもうれしい。うれしいのだけれど、本当にその申し出を受けていいのか、わからなくなっていた。食事中や仕事中――それこそ朝から晩まで、考えるのはそればかりで。「竜希と一緒に暮らす、か……」リビングのソファーに深く腰かけてつぶやく。彼ともっと一緒にいたい気持ちと、自分なんかで本当にいいのかという思いが、堂々巡りをくり返す。「……臆病すぎるだろ、自分」と、大きくため息を吐く。あずさとの間でも、そういう話が出たことはあった。当時は、今みたいに舞い上がっていたと思う。でも、臆病風に吹かれたのか、あずさと一緒に暮らすことはなかった。(……変われたと思ったのは、気のせいだったのかもな)なんて、自嘲する。竜希が隣にいたからこそ、勇気が出ただけなのかもしれない。『変わりたいんじゃなかったのか?』内なる自分に詰められる。うじうじしている自分を変えたいと思ったのは、嘘ではない。竜希の隣なら変われると思った。でも、一人になると、弱気な自分が顔を出す。「どうすればいいんだよ、僕は……」もう一度ため息をついて、うなだれる。(竜希……)何の気なしにスマホを手にして、竜希とのメッセージ画面を開く。そこに、明確な答えなんてあるわけもないのに。ログを遡り、やり取りを見返していく。彼の優しさが、そこかしこに散らばっていて、思わず口角が上がる。重く沈んでいた心が、わずかに軽くなった気がした。『感情で考えてもいいんじゃない?』唐突に、竜希の言葉が耳の奥に響いた。本気で変わりたいと思ったきっかけでもある。感情で考える――つまり、自分がどうしたいかということだ。(そんなの決まってる! 竜希ともっと一緒にいたい)それではどうするかと考えた時に、はたと気がついた。心は、もうとっくに竜希と一緒に暮らすことを決めていた。
「ぁ……ごめん、汚しちゃった」僕は、荒い息のまま謝罪する。僕の足先の床に、白濁の液体が水溜りのように広がっている。「あぁ、別にいいよ。後で掃除するから。それよりさ、ベッド行こうぜ」「あぇ……ベッド?」「あんたのかわいい顔見ながら、イきたい。いいだろ?」竜希は、そうささやいて僕の耳たぶを甘噛みする。「ん……っ! ぁ……少しだけ、じゃなかった?」「満足させてくれって言ったのは、あんただぜ?」くつくつと笑う竜希は、僕から自身を抜いた。「ひぅ……」ずるりと引き抜かれる感触に、思わず声が出てしまった。「こんなんじゃ、まだ足りねえだろ?」妖艶に告げる竜希に、僕は無言でうなずいた。「だよな。おいで」彼にうながされてベッドに向かうと、優しく押し倒された。「佳晴さん、かわいい。ずっと、俺だけ見てて」竜希はそう言うと、僕の返事を待たずにキスをした。優しく甘く温かいキスに、ゆっくり溶けてしまいそうだ。(僕だけ見てて、竜希……)独占欲にも似た感情が、胸の中に溢れてくる。息が苦しくなるのも構わずに、僕達は貪るようにキスをする。呼吸の一つ、唾液の一滴さえも逃したくないくらいに夢中になっていた。「んぁ……」甘くとろけた吐息が漏れた。舌もしびれている。(このまま、キスしていたい……)ぼんやりとそんな事を思っていると、竜希の唇がふっと離れた。名残惜しくて目を開けると、竜希は瞳をギラつかせていた。本能むき出しの姿に雄を感じて、心臓が跳ねる。同時に、僕自身が硬く反り勃ち、腹の奥が疼いた。「た、つき……」もたつく
注文していたピザが届くと、僕達はいつものように向かい合って食卓を囲んだ。僕の前にはアスパラとベーコンとコーンが乗ったピザが、竜希の前にはペパロニがたくさん乗ったピザが置かれている。いただきますと言って食べ始める。シャキシャキとしたアスパラの食感とベーコンの塩気、それにコーンの甘味がちょうどいい。「佳晴さんのも美味そうだな。一切れちょうだい」「いいよ。そっちの、一切れもらっても?」「もちろん」と、互いのピザの一切れを交換する。もらったピザを一口食べると、ペパロニ独特の肉の味とチーズのコクが口の中いっぱいに広がった。「これも美味しいな」「だろ? 一番好きなピザなんだよね。こっちはどうかな、と。……美味い! これ、好きだ」アスパラベーコンのピザを一口食べると、竜希の顔に満面の笑みが咲いた。「よかった、気に入ってもらえて。このピザ、僕のお気に入りなんだ」「じゃあ、よく頼むんだ?」「うん。たまに、別のを選ぶけどね。期間限定のとか、クアトロフォルマッジとか。でも、結局これに戻っちゃうんだよね」「ああ、それは確かにわかるかも。食い飽きない味だもんな、これ」言いながら、竜希はその一切れを頬張る。そんな彼を見て、ほっとすると同時に笑みがこぼれた。誰かと好きな味を共有できることが、とてもうれしい。それに、自宅で食べるピザよりも、格段に美味しい気がする。(これも、竜希と一緒だからかな)なんて、自然と彼に視線が行く。「どうしたの? そんなに見つめてくれちゃって。もしかして、もう一切れ欲しい?」小首をかしげて、竜希は自分のピザを指さした。「違うよ。竜希と一緒だから、ピザが美味しいなって思っただけ」僕は、わずかの逡巡、思ったままを伝えた。「……そっか。それなら、よかったよ」と、竜希はにやりと口角を上げる。けれど、爽やかな笑顔とも妖艶なそれとも違う。少しだけ、揶揄いが含まれているような感じがした。
カフェを出た僕達は、真っ直ぐアパートへと向かった。その間も、竜希は当然のように愛をささやいてくる。聞いているこちらが恥ずかしくなるくらいの甘い台詞だ。でも、うれしすぎて自然ににやけてしまう。「もうわかったから、やめろって」「嫌だね。俺がどれだけ佳晴さんを愛してるか、ちゃんと理解してもらわなきゃ」「理解してるから。変に嫉妬して、悪かったよ」「別に、それはいいよ。俺だって、嫉妬してもらえるのはうれしいからさ。でも、俺にはあんたしかいないの。他の奴なんかどうでもよくなるくらい、佳晴さんに惚れてるの。もう、あんたなしじゃ、生きられねえんだよ」ねっとりと告げる竜希の言葉に、僕の体は熱くなり、自身は股布を押し上げるほど主張している。(まったく、運転中なのにな……)僕は、軽く息をついた。早く彼に触れたい、抱きしめたい。焦燥感にも似た思いが込み上げ、ハンドルを握る手に力が入る。もちろん、安全運転は心がけているけれど。「なあ、竜希?」「ん? 何?」「どうして、そんなに僕を口説いてるんだ? もう堕ちてるのに」「さあ? どうしてだろうな?」他人事のように竜希が言った。ちらりと見た横顔には、困ったような笑顔が浮かんでいる。「まあでも、俺があんたに伝えたいだけだから。そんなに、重く考えなくていいんじゃねえの?」明るい口調で問いかける竜希。確かに、深刻に受け止めなくてもいいのかもしれない。「そうだな。竜希が僕を好いてくれてるんだから、それでいいか」「おう。で? 佳晴さんは?」「え、僕?」「そう。俺の事、好き?」「もちろん好きだよ。貴方の隣を、誰にも渡したくないくらいにはね」平然と言ってのける。でも、内心は、顔から火が出るほど恥ずかしかった。今まで、こんな台詞を言った事なんて一度だってなかった。なのに、竜希が相手だと、言葉が自然と溢れてくる。僕にとって、彼はすでに特別な存在になっていた。
売店に戻ると、竜希に話しかけているらしい二人組の女性が目についた。(もしかして、逆ナンされてる?)胸の中に黒いものが広がる。同時に、指先が冷えていく。気持ちを落ち着かせるように、一度ゆっくり息を吐いた。「お待たせ」と、明るく竜希に声をかけた。「あ、佳晴さん」竜希は、助かったとばかりに顔をほころばせる。「僕の連れに、何かご用ですか?」女性陣に優しくたずねる。もちろん、笑顔を保ったままだ。「あ、いえ……おしゃれでかっこいい方だから、ちょっとお話を聞きたくて」と、ショートカットの女性が臆面もなく話す。「……あっ!」僕が口を開こうとした瞬間、もう一人の女性が声を上げた。見ると、トイレ前でぶつかりそうになった小柄な女性だった。「あぁ……先ほどは、すみませんでした」「いえ、私の方こそ、ちゃんと見てなかったので」「あれ? 佳晴さんの知り合い?」竜希が小首をかしげる。「いや、さっき、ぶつかりそうになってな」事実を端的に告げる。「あの! もしよかったら、この後、食事とかどうですか? 何か、お詫びしたくて」小柄な女性は、申し訳なさそうに告げる。実際にぶつかったわけではないから、そんなに気を遣わなくていいのだけれど。「すみません、お気持ちだけいただきます。僕達、デート中なので、これで失礼しますね」にこやかに、でもきっぱりと言うと、僕は竜希を連れてその場を離れた。科学館を出るまで、僕達は無言だった。竜希は、何となく気まずくて黙っているだけなのかもしれない。でも、僕の場合は違った。心の中に渦巻く黒い感情に、囚われていた。「佳晴さん」竜希に呼ばれたけれど、答えずに車へと向かう。「おい、待てよ。佳晴さん!」彼が何を言いたいのか、何となく分かるよ
暖かく眩しい日差しにあてられて、僕は目を覚ました。どうやら、いつの間にか眠っていたらしい。寝ぼけ眼で室内を見回す。相沢さんの部屋だという事を思い出すのに、数秒ほどかかった。でも、肝心の彼の姿がない。(どこに行ったんだろう……?)疑問に思い、起き上がろうと寝返りを打つ。体がだるい。昨夜の記憶が、恥ずかしさとともに蘇る。でも、不思議と嫌なものではなかった。「あんなに気持ちよかったのは、久しぶりかもな」ぽつりと、本音が口から漏れた。ベッドから出ようとして、布団の感触に苦笑する。確認するまでもなく、素っ裸だ。相沢さんに抱かれた後、そのまま眠ってしまったのだろう。一応の確認をすると、僕の体は
相沢さんの黒い瞳に、野獣のような剣呑な光を認めて、もう逃げられないと確信した。恐怖を感じながら、心のどこかで楽しみにしている自分もいる。「あ……あいざわさん。おねがい……イかせて……」もう本当に限界で、僕は羞恥心をかなぐり捨てて懇願した。「ふふっ、いいぜ。でも、まだ挿れてあげない」相沢さんは意地悪くそう言うと、僕の足の間に頭を埋めた。「え……? ……あ゛っ!」
彼のペースに流されるままでいいのかと。理性が警告する。「くそっ!」僕は悪態をつき、相沢さんを見据える。「覚悟は決まったか? 佳晴さん」と、相沢さんは勝利を確信したように問う。「……ええ、決まりましたよ。貴方は、僕の心までは自由にできない」それではと、僕は彼に背を向けて歩き出す。「今の幸せじゃない状態が続いても?」彼の言葉に、僕は動きを止めてしまった。『幸せじゃない』それは、僕が常々、思っている事
(いや、まさか、そんな……あり得ないって!)一瞬、頭によぎった可能性を、僕は全力で否定してカクテルを煽るように飲む。ライチの爽やかな香りが、脳内をクリアにはしてくれる。けれど、目の前にある鍵の処遇については、何の解決策も浮かばなかった。僕は小さくため息をついて、他の席を眺める。カウンター席には、僕の他に一人の男性が座っていた。ボックス席の方に視線を向けると、カップルや友達同士らしい客が複数人いる。そんな中、一番奥の席に相沢さんの姿があった。(あ、いた!)